評価損とは

事故によって損傷した車両は全損でなければ修理することになります。
しかし,修理によってもどうしても事故前の状態にまでもどらないことがあります。
そのような場合,修理によっても回復できなかった損傷が残っていることになりますので,修理代だけでは損害が回復されたことになりません。
これを技術上の評価損とよんでいます。

また,修理によって一応事故前の状態には戻ったものの,事故歴がついてしまったことによって売却価格が下がってしまうことがあります。
そうすると所有している車の資産価値が事故によって下がってしまったわけですから,修理代だけもらっても損害が回復されないことになります。
これを取引上の評価損とよんでいます。

評価損の賠償は認められる?

評価損が認められるかですが,技術上の評価損については肯定されています。しかし,取引上の評価損については議論が分かれていました。

取引上の評価損は認めるべきではないという意見の理由は,修理して事故前の状態に戻っているなら本来車両の価値は下落していないはずであること,事故後もその車両を利用し続けて廃車にした場合は損害は生じないことなどが挙げられています。

しかし,事故歴が市場での価値に影響していることはまぎれもない事実でそれを無視することは現実からかい離した判断であるといえ,また,資産の価値が下がればそれだけで損害が生じたといってよく,その車両を売るかどうかは損害の発生と関係ないと考えるべきことなどから,評価損を否定する意見は説得的でないと思われます。

実際,少なくとも東京地裁では取引上の評価損を肯定的に考えるようになっています。

評価損が認められる基準

裁判所は評価損につき肯定的であると書きましたが,事故にあった車両すべてに評価損を認めているわけではありません。
評価損が認められるには大まかな基準があると考えられます。

判例の傾向では,
外国車・高級車の場合 初度登録から5年以内,走行距離6万km以内程度
通常の国産車の場合  初度登録から3年以内,走行距離4万km以内程度
であると認められる可能性があるとされています。

賠償額

賠償額は修理費の10%~30%である場合がほとんどです。
修理の程度や財団法人自動車査定協会の査定書などから売却価格の下落額を主張します。

裁判をしない場合,交渉によって保険会社が評価損を認めるかは保険会社や担当者によりけりで一概にはいえませんが,上記の基準にあてはまっていれば支払われるケースもあります。